2022年02月13日
2021年3月。昨年の3月に中学校を卒業し、海外の高校へ進学する予定であった子どもたちは、世界中で蔓延し始めた新型コロナウィルス感染の影響を受けて、渡航することが叶わず、思い描いていたような「留学というカタチ」にはなりませんでした。
それでも現地高校は「オンライン」での授業を開始することになり、日本に居ながらも「海外の高校1年生」として学ぶこととなりました。
日本の学校に馴染めず、いわゆる不登校となっていた子どもたちを中心に、海外ののびのびとした教育に触れ、世界の広さ、個性を大切にしてくれる海外での生活に、という想いでお引き受けしていますので、オンラインであってもなんとかできないかを考えてきました。
そこで、私たちのオフィスである「世田谷プレイス(カウンセリングルーム&研修所)のレイアウトを大幅に変更し、子どもたちに通ってもらい、海外とオンラインで結び授業に参加してもらうという機会を作りました。
「通学なんて久しぶり」「通学時間の電車が混んでて最悪」「雨の日は行きたくない」「自宅でもレッスン受けられるから今日は世田谷プレイスにはいきません」と様々な声を聴きながら、日々子どもたちが通いたい、通い続けたい、この道を選んだことを後悔して欲しくない、と想いながら続けてきました。
日々会う他の子どもたちとも、友だちになり、授業が終わった後にはカフェでお茶をしたり、プリクラを撮りに行ったりと、様々な「時間」も創ることができたようです。中学は起立性調節障害の影響からほとんど学校に通っていなかったという子は「あー、青春を取り戻している感じ」とポロっと口から出た言葉を、私は忘れません。
夏には、週末を使ってみんなで小旅行(箱根)なども企画しましたが、コロナ感染の恐怖とどのように立ち向かうべきかなども社内で議論があり、残念ながら実現することができませんでした。年末には、短期間での「カナダ研修旅行」も企画しました。オンラインであっても日々英語に触れている子どもたちの、リアルな英語、リアルな海外の地での空気感に触れて欲しいという想いからの企画でしたが、これも、保護者さまからの不安や、確実に「大丈夫」と言い切れない不安やもどかしさが、子どもたちを安全にそして感染させてはならないというところを軸にすると、GOサインを出すことは叶いませんでした。
そして、1月末をもって高校1年生の全課程を修了する日がやってきました。
昨年の11月頃のコロナ感染状況は、大きく減少し終息の気配すら感じられるときだったので、「今度こそは!」と修了式&ユニバーサル・スタジオ・ジャパン観光というイベントを掲げ、みんなと一緒にUSJそばのホテルの会議室を借りて修了式、そしてその翌日はUSJ観光をするという企画でした。
年が明け、コロナウィルスという文言よりも「オミクロン株」というワードを目にする機会が増えたのと同時に、感染爆発状況も恐ろしさを覚えるほどでした。
企画を立ち上げ、子どもたちの気持ちを揺さぶりそして盛り上げ、最後には中止…こんなことばかりを続けてきたこの1年。最後の最後まで繰り返してしまったことに、猛省し子どもたちに謝りました。
2月に入り、通い続けてくれた世田谷プレイスも前のようにカウンセリングルームと国内ホームステイ体験のできる施設に元に戻し、静かな毎日を送っています。当の子どもたちは、それぞれの道に歩み始めています。
すでにカナダへ留学をした子、これからカナダに留学する子、カナダの高校へ進学(高校2年生として)するため準備している子、ニュージーランドの高校へ進学するためにニュージーランドの開国を待っている子…。
まだ2週間しか経っていませんが、子どもたちと過ごしたあの日々が懐かしく、今どうしているか気になって仕方がありません。。。
そんな中、昨日、レターパックが届いたのです。
雨の日も風の日も、毎日の皆勤賞ではありませんでしたが、ここ世田谷プレイスに通い続けてくれた2人の子たちからプレゼントが届いたのです。
この1年間、本当にありがとうございました!
ささやかですが私達からのプレゼントです。
2021年、思うように事が進まない中で傍らでずっと見守ってくださってとても心強かったです。
直接渡す機会を逃してしまったので、郵送で送らせて頂きます。
現地でも頑張ります! M&S
というメッセージカード(上述)と、スタッフそれぞれに2人からのメッセージとプレゼントが入っていました。
あー、そんな風に思っていてくれたんだ、と、とってもささいなことと思えるようなことも、子どもたちの心には留まっていて、それが前に歩む出すきっかけになっていたと記されていました。
一人の子は一昨日、カナダへ旅立ちました。、もう一人の子は今週カナダへ旅立ちます。
本来希望していた地に留学することは出来なかった(未だその国は入国制限下にあるため)けれど、カナダの地で思う存分、留学生活を楽しみ、そして頑張って欲しいと思います。
昨夏発刊した『不登校生が留学で見つけた自分の居場所』。
生きずらい日本社会だけが居場所ではなく、海外にだってみんなの居場所はあるんだ、という想いを込めて執筆活動を始めてました。図らずも、コロナ禍で海外留学というカタチでは実現は出来ませんでしたが、彼女たちにとっての『居場所』は、留学という道が私たちターニングポイントと結んだものであり、世田谷プレイスが『居場所』になっていたのだと、改めて知ることとなりました。
ありがとうございます!
これからもずっと応援しています!